OLはなぜ“SMAPが好き”なのか。
ことしのゴールデンウィークは、映画を観たり歌舞伎を観たりととても文化的に有意義に過ごしたと同時に、むかしのスマの切り抜き記事やら雑誌やらをすこしだけ整理したりもした。
まだマメマメしかった頃はスクラップブックに貼り付けたり、ファイリングしたりしてたけど、とにかく媒体数がハンパでなく多いので作業が追いつかなくなって、いつしか切り抜いたきり、本を積み上げたきりとなり、ただでさえ狭い部屋をより狭くしている要因の第1位であったので、すこしでも片付けようと、せめてジャンルごとにより分けることをしてみた。

そんななかで現れたのがコレ。



1995.11/15号の【ダ・カーポ】(マガジンハウス刊)。
11年前のこの雑誌には、目玉記事の2本柱のうちの1本として『SMAPでわかる現代』という特集が組まれ、実に20Pにもわたって多方面からSMAPとその人気についての分析がなされている。
今でこそアイドル雑誌ではない一般雑誌にSMAPが取り上げられることは珍しくないが、このときはまだそうでもない頃だったので、当時のファンはこぞってこの号を買ったのである。
そしてこれ以降『日経エンタ!』や『SPA!』などでSMAP分析の特集が頻繁に掲載されるようになるので、もしかしてこの号は“SMAP分析”の草分け的存在かもしれない。

なので、僭越ながら、ちょっとご紹介しようとおもう(バックナンバーも、もう扱ってない年代なので)。
※雑誌の隅々までチェックしてみたが「無断転載禁止」の注意書きが見当たらないが、一般的に刊行物の完コピかイカンのは言わずもがな、なので程度をマガジンハウスに問い合わせてみた。そしたら「良識の範囲で」という但し書き付で転載の許可を頂けたので、一部引用とわたしなりの要約で、となることは予めご了承願うことです。


まずは、どういう方面からSMAP分析をしているか、特集記事中の大見出しを並べてみる。
・団塊Jr.世代の強みとは〜競争で身につけた個性重視の個人主義
・SMAP人気の秘密〜SMAPがブレイクするまでの軌跡
・“いまどき女”の心理を探る〜OLはなぜ“SMAPが好き”なのか
・平成不況を乗り切るための商品学〜ヒット商品のコンセプトはSMAP型
・今、企業に求められている組織学〜組織作りはSMAPに学ぶべし
・若者ファッション分析〜「男女の逆転現象」がキーワード
・アイドルは世相を映す〜男女雇用機会均等法以降のアイドル観

(この記事のタイトルは三行目の見出しから拝借)
商品学に組織学、そして女性学に男女雇用機会均等法まで。
かなり本格的にスマを、時流と法則と概念のまな板の上に乗せている。
そしてそれぞれの分析の包丁をふるうのは大学の教授・助教授であったり(専門は不明)、ファンにはお馴染みのプロデューサーであったり、メンバーと一緒に仕事をした方であったりする。

特集の導入部『競争で身につけた〜』で、スマは慎吾(当時18歳)を除いた5人(まだ6人だった)が団塊の世代Jr.だと言う。
わたしはこのとき初めてそれを認識したのだが、ここで包丁を持つのが法政大の教授で彼は説く。
SMAPは下積みが長く、どうしたら自分たちの個性を注目してもらえるかをバラエティーをやらされている時代に学んだんです。 だから、自然体でやっていられる。下積み時代に芸能界のシステムや人気稼業のむなしさも身にしみて理解しているから、今の自分たちのブームに対しても冷めてるし、クールです。人気とかプライドなどの訳がわかんないものには、こだわっていないですね。この点、今の大学生も同じで、新人類と呼ばれたひと昔前の学生と違い、最先端スポットやブランドなんかに対しても受け流している面がある。絶対に見えなんか張らない。これは、団塊Jr.世代の大きな特徴ですね

いま改めて読み返すと、ファンの立場からみて
「おお、なかなか鋭い」
という部分と
「ん〜? ちょっと見方が甘くな〜い?」
な部分もあるが、世間一般の、そして偉い肩書きをもったおじさんから見た当時のスマは、こういう位置にあったのであろうというのは得心がいく。

さらにこの項には亀山千広Pのコメントもある。
彼がこのときに中居・木村を「ツートップ」と称したことが、いまでこそファンには浸透しまくり・マ・クリスティとなるとは、亀Pも思わなかったであろう。
そもそも、SMAPを開幕間もないJリーグ(サッカー)にたとえているところが時代を反映している。我々ファンのこともサポーターになぞらえ
SMAPのステージではメンバーがリハーサルなしでアイコンタクトでだけで動くという。客のノリが悪い手薄な所には、誰かが行って自然に盛り上げる。スポーツのコンビネーションプレーのようなコンサートだ。コンサートに行く客たちは歌を聞きに行っているだけでなく、Jリーグ同様、空間を共有したくて会場に足を運ぶのだ。それまでの野球世代では、この一体感でスタジアムを包むことは不可能だろう。

としている。
これは亀Pのコトバではなく、マガジンハウス編集部の方の手による文だが、かなりわかっていらっしゃったのだな、とおもう。
おそらく、一度はライブに来てくれたのではないか。遅まきながら、ありがとうと申し上げたい。


二項目めの『SMAPがブレイク〜』。
これは正直、当時でもいまでもそんなに目新しくない内容なので割愛。

それよりも三項目めだ。
『OLはなぜ〜』。
当時のわたしは、この項目の記事をもっとも面白く読んだ。
と言うのも「なぜ」というのはわたし自身の疑問でもあったから、なのだ。
それまでジャニーズのアイドルのファンになんて、なったこともないじぶんが、なぜこれほどまでに【SMAP】というアイドルにハマってしまったのか。
それが不思議で不思議で仕方なかったわたしは、この項で包丁を持つ麗澤大学の教授の分析に目からうろこ、を体験するのだ。
適齢期の男性にあまりにも魅力が乏しいから。〜中略〜会社に入った若い男性は元気があって、ユニークな個性を持っていても、いずれ組織にマインドコントロールされて没個性人間になってしまうわけです。 現代の女性は20代後半で40%が、30代前半で14%が未婚です。結婚というシステムがいかに女性を経済的に搾取しているかに気づいていて、結婚に魅力をかんじていない。しかも経済力があって、行動半径もどんどん拡大している。そな彼女たちが、没個性理疲れた男性に魅力を感じるわけがない。だから彼女たちは、元気があってかわいい年下の若い男性の方に魅力を感じる

おおおお! であった。
ポンと膝打つ、であった。
なにかに、赦されたようなきもちになった。
更に記事で
目ざましい社会進出によって、女性は経済的・精神的に自立した。そして、社会でも言いたいことを堂々と言える、そんな自由を手にした。また、時を同じくしてヘアヌードなど、これまでタブー視されてきたものが一般にも浸透してきた。そんな風潮が重なって、アイドルファンは中高生でなくても隠れる必要がなくなったのだ。

まるでエールみたいなことを書いてもらってわたしは、本に向かって拍手したような記憶もある。
それほどに、わたしにはありがたい記事であったのだ。

それからこの項には面白いおまけがあって、そのものズバリ
【6人のうち誰が好きかで女性の深層心理がわかる】という分析モノ。
監修してくれているのは及川心理臨床研究室の及川医師。
全文紹介ができないので、とりあえず何系か、ということだけ表記しておく。
・中居ファン=ブラコン系(お兄さん願望を強く持っている妹タイプ)
・木村ファン=ブラント志向派(都会的でスマートな生き方に憧れる理想主義者)
・稲垣ファン=金妻予備軍(見た目はおとなしいお嬢さんタイプだがこころの奥底に悪への衝動を持っている)
・森ファン=フィットネスおたく(男性の野生的で肉体的な面に強くひかれる)
・草?ファン=世話好き女房(姉御肌のお姉さんタイプ)
・香取ファン=激情地軸ギャル(笑いの中に涙を、悲しみの中に希望を見出そうとする情感豊かなタイプ)



上記の記事の次にわたしが面白く読んだのは五行目の、組織学から分析したSMAPについて。
キーワードは【リエンジニアリング】で、包丁持ちがビジネス評論家やビジネス書の著者だったりするから、この項だけ日経系発行の雑誌みたいな内容になっている。
でも、その評論家さんが
「経営者はテレビでSMAPを見るべき」
と言ってくれてたりしているし、従来型アイドルとSMAPの“リエンジニアリング”をわかりやすい対照表で解説してくれていたりと、わたし程度のオツムでもちゃんと理解できるので読み応えもじゅうぶんある。
要するに、SMAPは既成概念を打ち壊し、独自のそして異例の手法で組織(グループ)を組み立て、ビジネス(パフォーマンス)を行ってきた、その組織学を見習うべし、というもの。
・発想を新しくせよ
・従来型にこだわるな
・若手のスタンスを認めよ

現代にも通じる提言を、このときにすでにSMAPを通じて行っているのである。

さて、この項には中居班に特に嬉しい記事もある。
リーダーの条件は“中居タイプ” チームのバランスも重要だ

という見出しで、顔相学と血液型性格学(んな専門があったのか)と兄弟(姉妹)学の視点からの分析である。
ここで中居さんは、こそばゆいほど褒められている。
兄弟学、血液型(生年月日も含む)学、顔相学のすべてにおいて
グループを活性化させ、連帯感を持たせる人材は、ズバリ、中居タイプ。ナンバーツー型で、A型で、弟型である。

と、リーダーに最適と太鼓判を押されているのだ。
読んでいてちょっと照れる(なぜ)。


次の項である『男女の逆転現象〜』は、木村隊長ファンに嬉しい構成かも。
当時、ベストジーにストを2年連続受賞した隊長は、世間的にも認められたファッションリーダーキャラ。
しかも“ロン毛”流行りの牽引役とも見なされている。
「キムタクみたいにして」
という客が美容室に多かった時代というわけだ(うちの妹もそのひとりだった)。


そして最終項『男女雇用機会均等法以降の〜』。
特集の総括としての記事。
結論として“ボーダーレス”を挙げている。
男女雇用機会均等法=女の自己主張の時代
というイメージを背景に
男も若くて顔がいい方がいい
ことを声高に主張してもヨシという時流(それは女性の精神的なオヤジ化をも意味するが)になり、そういう女性のニーズに応えようとする男性たちの意識にも変化をもたらし、結果さまざまな事柄対しての意識のボーダーレスを生み出した、というのだ。
ボーダーレスというのは
「アレもコレも有り」
で、判断価値の多様化。
つまりの結びはこうだ。
男女の意識のボーダーレス化が、SMAPのような多面性を持つアイドルを生み、さらにSMAPもナイナイもイチローも同じ俎上で品定めする状況をもつくりだした。たのきんと横浜銀蠅とイモ欽トリオのファンが決してリンクしなかった時代を思うと、現在のアイドルとその他のボーダーレス化は「みんなアイドル」=「純然たる正統派男性アイドルの不在あるいは終焉」という、決定的な変化を示しているのかもしれない。

この感覚は、いまなお続いているようにおもえる。

ついでにこの項には、スマファンが足を向けて眠れない相手のひとりである荒井Pのコメントもあり、
ドリフ的“集合体の笑い”をSMAPでもう一度

という、いまではとうぜんな話も、ここで語られている。


以上、たいへんな長文となったが、この号の【ダ・カーポ】、古くからのファンのスマ友さんに訊いてみて、持っていたら読ませてもらうことをおすすめして、この記事を終わりとしよう。

長のお付き合い、感謝致します。
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Comment








>しーの様
バックナンバーがあればなんの問題もないのでしょうが、残念ながら、もう扱っていないようなのですね。
昔の雑誌や新聞記事のほうが大事に保管してあるのが、我ながら笑えます。
最近のもののほうがぞんざいなのはなぜだ〜???。

>えみ様
そうですね。
一時期、雑誌・新聞上でスマップ分析が流行った感がありましたね。
えみ様が仰る“語りたくなるグループ”というのはとても的を射ていると思います。
昔は業界人が、いまはファンが飽くことなく語り続けていますもの。
from. 夏葉 | 2006/05/18 21:55 |
まだうすーーいお茶の間ファンだった頃、新聞の特集でSMAPを分析してるのを読んだことがありました(中身は忘れましたが)。
今思えば、たくさんの文字媒体が兄さん達を語ってたんですよね。
一つくらいちゃんと覚えておけばよかったと後悔しています。
でも、こちらで一つ内容を知ることができて嬉しかったです。ありがとうございました。
読ませていただいて感じたこと。
SMAPって昔から語りたくなるグループなんですね。山あり谷あり、まぁドラマのようなこの15年、(それも今流行の昼ドラ並み)これからもちょっとヤンチャなおじちゃんになってファンを魅せて欲しいです(ヤンチャやドラマは小さいもので結構ですが)
from. えみ | 2006/05/15 08:58 |
貴重な資料を紹介してくださって、ありがとうございます!

ああ、この雑誌、あの時なんで手にとってレジに直行しなかったんだろう?と、今さらながら悔やまれます(涙)
手元に置いておきたかった!
当時のわたしに飛び蹴り食らわせたい気分…。
でも、夏葉さんのおかげで、平手で頭をパコンとひっぱたく程度ですみそうです(笑)

それにしても、大人社会でユニークな個性を持ち続けることのなんて難しいこと。
それを持ち続けているどころか、どんどん磨きをかけていってるにーさんたちに脱帽です。
from. しーの | 2006/05/15 05:36 |
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Text:©2004 瀬戸際日記Neo.
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