大先輩。


ミュシャ、というとわたしは画家と呼ぶよりグラフィックデザイナーもしくはアートディレクターという括りでもってその作品を見ていた。
有名なサラ・ベルナールの舞台ポスター然り、『黄道十二宮』・『四季』・『四芸術』が人気の装飾パネル然り。
写実的に見えて実は輪郭線だけしか描いていない、という大胆な省略があったり、額縁が不要にさえ感じる曲線のレリーフで飾られた上下左右の囲みがあったりするさまは「絵画」ではなく「イラスト」だと、今回の【ミュシャ展】を観て、改めて感じた。
それはこの展覧会の目玉である『スラヴ叙事詩』の大作にもいえることで、どれをとっても
「ポスターそのもの」
で、もっと言うならあの中の何点かは、ウチのおじぃたちのアルバムジャケットでもおかしくないぞ! てなくらいに“デザイン的”な作品だと感じた。

特に構図の取り方が面白い。
人が宙に浮いているかのような配置や、手前位置には必ずと言っていいほどカメラ(?)目線の人物が居ることや、妙にかっこつけたポージングしてる人物が居る−など、映画の予告編を観ているような錯覚に陥る。
こんなふうなイラストを描く人が日本人にも確か居たはず、と鑑賞中にはおもい出せず悶々として帰宅し、調べたら一昨年お亡くなりになった 生頼範義氏(『スター・ウォーズ-帝国の逆襲-』のポスターが有名) だった。
タッチは全然違うけど、構図が似ているのだ。
でも“構図”だけに限ってみたら『スラヴ叙事詩』のなかにおそらく浮世絵に影響されているだろうという作品(『クジーシュキでの集会』)もあるので、あの奥行き感のある構図は実は日本発、なのかも。

個人的には目玉作品の『スラヴ叙事詩』よりも、『プラハ市民会館・市長の間』の穹隅(きゅうぐう)の画(え)にとても惹かれた。
ドーム型天井を支えることとて緩やかなカーブの円弧でトリミングされた人物画(チェコ近辺の偉人たちらしい)なのだが、なんというか、画(え)から物語を妄想できてしまうのだ。
世界史を選択していながらチェコあたりのなにかとめんどくさいヨーロッパの歴史のことを覚えていないのをいいことに、壮大なファンタジーがアタマの中で駆け巡るのである。
それほどにかっこいい「イラスト」なのだ。
死ぬまでに一度はチェコに行って、ほんものを見たいとおもえたほど、素晴らしかった。


かなり混んでいる展覧会だと聞いていたのでどんなもんだろうと心配だったが、危惧するほどの混み具合はなかった。
ちゃんと絵の前にも行けたし、大きい作品だというので持参した双眼鏡(とても役立った)も余裕で使えるほどだった。
混雑がイヤで尻込みしていたが、行ってよかった。

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Comment








>まきねぇ様

友人が誘ってくれたので重い腰があがりました。
15時過ぎだったので、そんなに混雑もしていなくて、ゆっくり鑑賞できたのもよかったです。
『スラヴ叙事詩』は大きい作品ですので、一見の価値はあるとおもわれます。
名古屋のほうでも開催されるとよいのですが。
from. 夏葉 | 2017/04/15 12:20 |
ミュシャ展、行かれたのですね(*^o^*)いいなぁ〜!

見に行きたいと思いながら、諸事情により二の足を踏んでおりました。

某国営放送で特集したのを見て「まぁこれで我慢できるかな〜」と。

でも…夏葉さんの感想を読んだら、やはり生でスラヴ叙事詩が見てみたくなってしまいました…。

from. まきねぇ | 2017/04/12 11:29 |
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