視点。
父・藤原不比等の願いが込められたその名を胸に、一人の少女が歩みだす。朝廷の権力争い、相次ぐ災害や疫病...。混迷を乗り越え、夫・聖武天皇を支えて国と民を照らす大仏の建立を目指す。光明皇后、その生涯が鮮やかに蘇る渾身の歴史長編
Googleブックスより

『ガラスの仮面』で、亜弓さんが、マヤを陥れた乙部のりえを成敗するために出た舞台『カーミラの肖像』の稽古時、取材記者に対して
「極悪人設定のシャイロック(@『ベニスの商人』)を悲劇の人に変えてしまった演者がいた。わたしもわたしなりのカーミラを演じる」
と言い、その言葉どおり、恐怖の対象であるはずの吸血鬼を同情の対象にしてしまう演技をして、乙部のりえを完膚なきまでに叩き潰したわけだけど、つまりは視点を変えればこれまでの通説だの定番もどっかへ行ってしまう、ということで、本作はわたしにとってまさにそういう一冊だった。

というのも、わたしがこれまで読んできたものでは光明子がここまで素晴らしい人格者に書かれたりしてないし、ましてや長屋王が天皇(すめらみこと)の座を狙っている野心家で、かつあれこれ謀ってやらかしちゃったりなんてしないから、ここまで逆の設定なものをつきつけられると、戸惑うというか目がシロクロしてしまうのだった。
なので最後まで物語の世界に馴染めず、すっきりしない読後感が漂ってしまったのである。
これじゃあ、司馬さんの書いたものが史実どおりで正しくて、歴史書認定してるから、それ以外の設定を頑として認めず、それとは違う設定で書かれた大河の脚本が気に入らなくて文句言ってる歴史オタクのおっさんと大差ないや、やだなぁ。

もっといろんな作家さんの本を読んで、どんな設定のものでも
「あら、こういう視点できたのね、よくってよ、ほほほ」
と鷹揚に読み進められるようにならんと。
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