わたしもあたまが悪いけど。
上野さんの祝辞が話題になっています。
わたしも全文読みました。
そして「やっぱりすごい人だな」と感じました。

私の個人的見解ですと、この祝辞に “反感” や “チリチリする苛立ち” 、“腑に落ちない” 等の「どうにも素直に聞き入れがたい」感情を抱くのは、それこそその人自身の深層にある《無自覚な差別意識・選民意識・優越感》を気づかされてしまった人、だろうなということです。
とはいえ、現役合格なら18歳前後の若者が大半、な新入生であるので、自身が持っていた差別意識に気づいていないのが一般的でしょう。
いや、いまどきの若者は気づいているのかな? それでいて気づいていないふりをしているのかもしれません。
いずれにせよ、指摘されたくない部分を、上野さんの祝辞はズバズバ突いていて、そりゃあプライドと意識の高い、東大に合格できるような頭脳を持った若者ならムッとすることでしょう。
事実、《不快の念》を表明している人も多いですから。

でもきっと、それが上野さんの狙いでもあったと、私はおもいます。
現状、中央省庁の職員がほぼこの大学の出身者で占められていることを鑑みれば、彼ら・彼女らに “気づいて” もらえることの意味はたいへんに大きいわけです。
そのためには事実を突きつけなければならない。よのなかってのはいまこんなものだと、わかってもらわないとならない。
だから言った、のだとおもいます。
明るい未来を示唆するような美辞麗句や、あなたは特別、という自意識をくすぐるような称賛ばかり並べた祝辞なんて、彼らのなかの無意識の差別意識を増長させるだけですから。

ただ忘れてならないのは、この上野さんの祝辞に「OK」を出した東大側の度量の深さです。
私は実はそちらのほうにこそ、驚きました。
祝辞の内容そのものだけなら、上野さんらしい、で終わりですが、これを読み上げることを許した東京大学という教育機関を、私はちょっと見直したのです。
同時に、まだ希望を持っていてもいいのかな、と感じました。
今年の新入生たちが卒業し、社会に出ていく頃には、いまはびこっている様々な差別が減っている、減っていくよのなかになっている―ことを期待してもいいのかも、と。

そういうよのなかを、どうか見られますように。



ところで今回初めて上野さんを知った方も居られるやもしれませんので、この時にわたしが読み疲れた本を、お奨めしてみようとおもいます。
これを読むと、上野さんの主張とこういう祝辞を言っちゃう背景が、よーくわかります(まだ売ってるとおもう)。
ジェンダー(主に女性差別)について調べる場合、上野さんの持論と本は欠かせないのであります。








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>juju様

そうですね、上野さんは我々には想像もつかないほど、酷い言葉をなげられたり、扱いを受けたと思います。
今回の記事でお奨めした本にも、そのあたりのことがちらほら出てきます。

わたし自身は『男女雇用機会均等法』施行のすぐあとの世代です。
なのでまだまだ世間は “男社会”男の価値観・考え方・やり方が主流でした。
オフィスに保険会社が配るヌードカレンダーが普通に貼られていた時代です。
時代の先端、のはずの広告代理店がそうなのですから、メーカーや商社、その他の企業はもっと酷かったのではないでしょうか。

そういうことが「おかしい」と気づくのに、少し時間はかかりました。
わたしは黙っていられない性質(たち)だったので、モノ申しましたが、とうぜん、生意気だと叩かれました。
そのため、男に対する姿勢がおおいに歪みましたのですが。


前の職場で新卒採用に少しだけ関わった時、飲み会の席で、男子学生が料理を取り分けたり、人のグラスの様子を気にする姿に、とても感激したと同時に、少しは未来が明るい、と喜びました。
願ったのは、彼らが、オヤジ根性の先輩たちに染められないように、ということでした。

from. 夏葉 | 2019/04/20 14:45 |
上野さん自身がいろんな差別を受けてきた年代だと思いますが、
決して誰かを批判したり、誰かのせいにはしません。
だからこの人の言葉は「美しい」のだと思います。

私が大学生のころ、
大手の都銀や損保の求人票には堂々と「女子は自宅通勤者のみ」と
記載されていました。
偏差値の高い大学はあり得なかったと思いますが、
普通の女子大に求められたものは社内恋愛のための、
親元から通っているなら身元が固いだろうと思われる
花嫁候補だったのだと思います。
ても地方出身者の私たちは、それをおかしいとは思いませんでした。
差別を差別と感じないのは、それはそれで楽なのかもしれません。

でも時々今の時代に生まれたかったなと思います。

from. juju | 2019/04/14 13:36 |
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