絹のような。
2019.08.14 Wednesday 13:30



ちゃんと観に行ってきました。
とはいえ、このときに自白しましたように、わたしは望都先生の作品は『スター・レッド』しか読んでいないので、今回の企画だとわかる部分がほとんどない、状態なのですが。
それでも観たい、とおもったのはやはり前回の時の “圧倒的筆力” を再度この目で確認したい、とおもったからです。
ところがです。
ところが、なんです。
この作品の原画、ものごっ つ優しかった! のです。
線が。
キャラクターだけでなく、背景、家具調度、衣装に至るまで、そこに描かれている線はすべて、そう絹のように儚げで繊細で優しかった、のです。
カーラ教授が『笑う大天使(ミカエル)』に於いて史緒さんと柚子さんに『ポーの一族』について語らせていて、そこで
「ロマンチシズムの極み」
と評しているのですが、線までもが「ロマンチシズム」に溢れており、もうべっくらこきましたとも。
SF作品との描き分けを「線」の細部にまで徹底しているなんて! と。
先年一条ゆかり先生の原画を観たときにも「線が細くて繊細」とわたしは書きましたが、繊細さの種類が違うんです。
望都先生が「絹」なら一条先生は「ガラス」ですね。つまりちょっと硬質。
その違いは「ロマンチシズム」ではないか、とおもいました。
次にわたしがガツンと衝撃を受けたのが画面の構成力です。
なんですか、あの、映画のシーンを切り取ったような、恐ろしいまでの構図は!
1枚の紙―平面のうえに過去と現在と連想画と自然現象を混在させて時系列を成立させてしまう手法は! 凄すぎでしょ!
もう断言しますけどね、今現在売れっ子の若手少女漫画家にはいませんよ、あんな構図で描ける人は!!(たぶん)
事程左様に、凄い原画展でありました。
あ、そうだ1点だけ。
由来は『ポー』なので当然なのですが、「誰がクックロビンを殺したの」のイラストのところでは、どうしても脳内に『クックロビン音頭』が再生されてしまい、薄く笑ってしまいました。
申し訳ございません。